なぜ今、区分所有法が改正されるのか
日本全国で築40年超のマンションが急増しています。国土交通省の推計では、2033年には約249万戸に達する見込みです。老朽化・被災マンションで建替えや解消が進まない現状を打破するため、約50年ぶりとなる大幅な区分所有法の改正が2025年4月に施行されます。
すでに施行されています。管理組合として対応が必要な事項を今すぐ確認しましょう。
主な変更点 ― 5つのポイント
建替え決議の要件が緩和
改正前
区分所有者・議決権の
各5分の4以上の賛成
改正後
区分所有者・議決権の
各4分の3以上の賛成
※一定の要件を満たす場合
老朽化・被災マンションで一定の要件(築年数・耐震性不足など)を満たす場合、建替え決議の賛成要件が5分の4から4分の3に引き下げられます。反対する区分所有者が少数でも建替えが進めやすくなります。
マンション敷地売却の要件も緩和
改正前
5分の4以上の賛成
改正後
4分の3以上の賛成
※一定の要件を満たす場合
建替えではなく、マンション全体を売却して解消する「敷地売却」も同様に要件が緩和されます。建替えが困難な場合の現実的な選択肢として活用しやすくなります。
区分所有者不明・所在不明への対応強化
所在不明の区分所有者がいても、裁判所の決定を経ることで、その議決権を除外した上で決議を成立させる仕組みが新設されます。
具体的な手続きの流れ
- 所在不明者への公告・催告(一定期間)
- 裁判所へ申立て
- 裁判所の決定により、その者を除いた数で決議
管理不全マンションへの対応(管理命令制度)
管理が著しく不適切なマンションに対し、裁判所が管理者を選任できる制度が創設されます。管理組合が機能不全に陥った場合でも、外部から管理を立て直せるようになります。
管理組合への影響
適切に管理されている組合には直接影響しませんが、管理不全と判断されないよう、日頃の管理状況の記録・整備が重要です。
集会(総会)のオンライン開催が明文化
これまで解釈が曖昧だったオンライン総会の開催が、法律上明確に認められます。書面・電磁的方法による議決権行使も整備され、区分所有者が参加しやすい環境が整います。
管理規約の見直しが必要な場合も
オンライン総会を活用するには、管理規約にその旨を定める必要があります。規約の確認・改正を検討しましょう。
管理組合が今すぐできること
管理規約の点検・改正
オンライン総会や回覧で共有し、組合員の理解を深める
区分所有者名簿の整備
所在不明者対応の手続きに備え、連絡先・住所情報を最新の状態に保つ
長期修繕計画・修繕積立金の見直し
建替え・敷地売却の選択肢も視野に入れ、将来の資金計画を再確認する
専門家による劣化診断を依頼する
大規模修繕工事の5年前を目安に、コンクリート診断士・建築士による診断を実施。
まとめ
今回の区分所有法改正は、老朽化マンション問題に正面から向き合うための大きな一歩です。建替えや敷地売却のハードルが下がる一方で、管理組合としての日常的な管理体制の充実がより一層求められます。
「うちはまだ関係ない」と思わず、今のうちに規約の点検・名簿整備・資金計画の見直しを進めておくことが、将来の選択肢を広げることにつながります。ご不明な点はお気軽にご相談ください。